映画『怒り』をみた

怒りをみてきました。

めちゃくちゃおもしろかったです。

すごかった。いい映画をみた!って気持ちなので忘れないうちに感想を書いておきます。原作も読んでない脳直感想文でスマン。

もともと綾野剛さんが好きで、その綾野剛さんが妻夫木とできてるゲイの役をするというので絶対みなきゃな〜と思ってました。クレオパトラな女たち でもゲイの役してたよね、綾野剛

ちなみに一番好きな綾野剛ヘルタースケルターでヒモの役してた綾野剛です。

 

そんで原作が吉田修一さん。吉田さんの小説を読んだことはないのですが、吉田さんが原作の映画『さよなら渓谷』がとても好きだったので内容にもかなり期待してました。(さよなら渓谷は真木よう子主演 これも実際のレイプ事件を元にした話で、怒りと許しの話でした。しんどいけど心に残る映画だったのでおすすめです)

 

どんどんネタバレしていくよ〜

夏の暑い日に、ある夫婦が殺害されて、事件現場には血文字で怒りの字がかかれていた。犯人は30歳の男。一年経っても逃げおおせている。ニュースなどでも犯人の特徴をバンバン流してるが見つからない。犯人かもしれない3人の塩顏の男とその周りの人間の信頼と怒りを3つ同時進行で進んでいく感じ。

 チームうつ 松山ケンイチ 宮崎あおい 渡辺謙

チームゲイ 綾野剛 妻夫木聡

チームはいさい 森山未來 広瀬すず 辰也くん(辰也くんだけ役名 初めてみる俳優さんでした)

チームゲイについては良質な暮らし悲恋BLとしていろんな腐女子が感想を書いていると思うので、省略めにいきます。私が一番ウェ〜ンとなったのはチームうつです。でも一番つらいのはチームはいさいです…広瀬すず

 

事件があった日、37度を超えたとても暑い日で、締め切ってあった殺害現場は蒸し風呂(実際現場は風呂だし)だし、犯人は妻を殺害してから一時間ほど夫の帰宅を待ち、そして殺したという異常さにも触れられていました。

で、この殺人のシーンとか、警察の現場検証のときの暑そうな感じがめちゃくちゃよかった…

温度感がめちゃくちゃ伝わってきた

夏の蒸し暑さと殺人の密接な関わりあいみたいなのがすきなので、テンションあがりました。カミュだって殺人は太陽が暑かったせいって言ってたしね 太陽が眩しかったからだっけ?知らん

ちょっと公開時期遅くない?真夏の方がよくない?8月の熱帯夜にレイトショーで見て帰りにぬるい風あびたくない?ってなっちゃった まあいいや それはそれ これはこれ

 

 

チームうつの話。

家出した愛子(宮崎あおい )とその父親の槙さん(渡辺謙)。家出した愛子ちゃんはソープで働いていて「客の要求になんでもこたえてしまう」しまうせいで入院までしまって、そんな愛子ちゃんを迎えに東京にきた槙さんのシーンからチームうつのスタート。

ソープでボロボロになった愛子ちゃん、父親のことを「お父ちゃん」と呼び、電車の中で音楽を聴いているときに「お父ちゃんもきく?」とイヤホンを差し出したり、少女じみた振る舞いをするんですが、その宮崎あおいがなんかすごかった… 距離の詰め方とか、喋り方とか、ちょっと足りない子なのかな?それか、ボーダーなんかな?って思わせてくるかんじ。それでいて、無言の愛子ちゃんを引き気味で映すシーンはびっくりするほど疲れたおばさんに見えました。すっぴんの宮崎あおいめっちゃババアやん!?って一瞬焦るくらい。

愛子ちゃんの従姉妹(すごいちゃんとしてそうな人。まっとうな人代表ってかんじ)が車で駅まで迎えに来てくれる。土砂降りの中槙さん家で住み込みで働いているという田代くん(松山ケンイチ)が自転車に乗ってるところに遭遇。従姉妹、田代くんくんに「子供のバスケのコーチ、土曜によろしくね いつも助かるわ〜(うろ覚え)」みたいなこと言うのに、田代くんがいなくなった途端「素性が知れないって不気味よね〜」と言い出す。

人間〜キビシ〜!と思ったけど、そりゃそう。素性の知れないくらい人間なんてこわいよ。田舎の閉鎖的なコミュニティじゃ受け入れられないのも当然だよね…

で、愛子ちゃんと田代くんはどんどん距離が縮まっていって、うつっぽい田代くんも愛子ちゃんの前だと安らげる、とか言ってきて、いい感じになる。

でも槙さんは二人を異様に心配する。「男はいいんだ。女を抱きまくっても世間はなんとも言わない。でも女の子は、白い目で見られる」「あの子は普通と違うんだ…」

渡辺謙、演技ウマッ!?世界レベルだな〜

ソープに行く前にも愛子ちゃんにも何かあったんだろうな、と思わせてくる。槙さんは片親で、娘のことが心配でたまらないけど、訳あり愛子ちゃんのことを信用しきれない。

愛子ちゃんの好きになった田代くんのことを信用したいけど、そもそも愛子ちゃんを信じきれない。

槙さんは田代くんの素性が気になって、田代くんが槙さんとこに来るまでに働いていた軽井沢まで確かめに行く。すると田代くんは田代くんではなく、偽名を使って働いていたという。そんなんやばいやつじゃね!?あの事件の犯人なんじゃね!?愛子、あいつと付き合うのやめな〜!?する槙さんに、「お父ちゃん、なんでそんなこと言うの。あたしのこと好きになってくれる男の人なんて、ろくでもないやつに決まってると思ってるの?(うろ覚え)」言うシーンがグッ…ときすぎて、ちょっと泣いた…

 ほんで、愛子ちゃんは田代くんのことを信じたいので、一緒に暮らし始める。槙さんも、これでよかったんや…俺は愛子のこと信じるで…ってなってたんだけど、愛子ちゃんは田代くんがいない隙に田代くんを通報してしまう。

田代くんを信じきれなかった愛子ちゃん。

田代くんは犯人じゃなかったと告げられて、号泣する愛子ちゃん、愛子ちゃんを力強く抱きしめる槙さん…

ここが映画の一番すきなシーンです。渡辺謙 演技ウマッ!?(二回目)

愛子ちゃんも槙さんも、田代くんを信じきれなかった自分に怒りを覚えていました。どうにもならない怒りが本当につらかった… 人を信じるって難しい。

唯一救われたENDのチームなので本当によかった。愛子ちゃんと槙さんの過去もっと知りたいよ〜!

 

チームゲイ

パリピゲイゆうま(妻夫木)、隠キャネコちゃんの直人(綾野剛)を拾う。

ゆうまはゲイの友達と二丁目で遊ぶし、仕事はバリバリしてるし、もう長くないお母さんのお見舞いも行く、大事なものがたくさんある男です。対して直人は、毎日同じ服だし、無職だし、スマホすらもってなくて、何も持ってない男でした。

そんな二人が出会って、お互い大事な存在になって、同じ墓に入ろうよ〜んになるまでをシンプルに描く上質な暮らしBL、自カプでみたことある…すぎてやばかったな〜

ゆうまの仲間内で窃盗が続いた&直人が高畑充希と喋ってるのを目撃してしまい 嫉妬とあれやこれやで直人のことを信じられなくなるゆうま。完全に事件の犯人が直人だと思い込んで、警察からの「直人さんのお知り合いですよね」という電話に知らないと答えて切ってしまうゆうま(ペトロか?)(わかる。わたしも直人が犯人だと思ってたもん)

ゆうまが直人を信じきれなかったせいで、直人の望みも叶えることができず、男泣きに泣くゆうま。そういう怒り。

いや〜なんかチームゲイはほもとしてよかったんだけど(自カプで)、他のチームがすごすぎてインパクトに欠ける…いやよかったんだけど…ハッテン場セックスすごかったんだけどね…

高畑充希 黒目デカ!?

 

チームはいさい

しんどい。広瀬すず 幸せになってくれ。

最初は1番ほのぼのしてて、沖縄の離島のダセエ少年の辰也くんが、内地から来た美少女いずみちゃん(広瀬すず)に出会うも、いずみちゃんは怪しいバックパッカーの男(田中・森山未來)に惚れてしまい…!?っていう切ない童貞ストーリーなのかなと思った。海きれいだし(?)

途中まではそんな感じなんだけど、辰也くんがいずみちゃんを那覇に誘ったところからガラッと変わってしまう。

辰也くんのお父さんは那覇辺野古島に米軍基地誘致のデモに参加している。これは辺野古のひとたちの怒り。(現実でも裁判で負けたんだよね?ニュースみてないからわかんないけど…)

辰也くんはデモに参加する父親に理解ない。というか恥ずい。どうせ無理なのに、仕事(家族で民宿的なものを経営しています)をほったらかして那覇でデモに参加なんて、アホちゃう?っていずみちゃんに言っちゃう。

那覇の夜、辰也くんといずみちゃんと田中で酒を飲む。このときの田中、めちゃくちゃモテそ〜なクソ男ですごい。いずみちゃんの話を聞きくときの、オレ、君の気持ちわかるよ。感がすごい。そんなんいずみちゃん惚れてまうやんけ!と辰也くん側の気持ち(イケてない童貞)として見てたんで焦りました。後の展開も知らずに。

飲み屋で田中と別れた後、帰ろうとする辰也といずみちゃん。いずみちゃんがちょっと田中の後ろ姿に見惚れてる間に辰也とはぐれる。夜の那覇、米兵たちが飲んで騒いでるところを一人で走るいずみちゃん。このあたりがもう恐怖がやばい。絶対レイプされちゃう…助けて〜!ってなる。案の定 公園でレイプされちゃういずみちゃん。怖い。怒り。辰也は途中からみてたけど恐怖でうずくまるのみ。

米兵が去った後、いずみちゃんは「訴えても勝てないんでしょ…絶対誰にも言わないで…」と言う。

そのあと浜辺で辰也くんといずみちゃんは追いかけっこするシーン。追いかけっこと言っても全然かわいいやつじゃない。いずみちゃんは怒っていた。米兵にも、助けてくれなかったひとたちにも、守ってくれなかった辰也にも。

「辰也くん言ったよね!?デモなんかしたって意味ないって!」って叫ぶいずみちゃん。つらい…怖かったのに、誰も助けてくれなかった。

もうとにかく広瀬すずが美しかった…

チームはいさいの話はもうやめよう…

映画のメインみたいなとこあるので。このあと辰也くんもめちゃくちゃ怒るし、いずみちゃんはもっと怒る。森山未來がまじでやべえ。

 

三つのチームはバラバラで進んでるのに繋ぎがハチャメチャにうまくて、ぶつ切り感が全然ない。場面転換前のセリフがが程よくつぎのシーンにかかってると観る側が感じることのできるつなぎもよかったな〜(思い出?)

愛子ちゃんが「泣いたって誰も助けてくんないんでしょ!!」と言うシーンで、そうだよ〜いずみちゃんは泣いて叫んでも誰も助けてくんなかった〜怒怒怒!ってなった。この世界は怒りに満ちている…

信じられなかった自分に怒るチームうつとチームゲイ に対して 安易に信じてしまった自分に怒るチームはいさい。怒りという感情、パワーがすごい。喜怒哀楽の中で一番強いんじゃないかと思った。普段、楽楽楽鬱みたいな感情バランスしてるから、怒りの気持ちも大事にしようと思った(まとめ)

最後の、海の中で叫ぶ広瀬すずがあまりに美しかった…

腐女子が チームゲイのとこはよかったけど他は微妙〜チームゲイのとこだけ編集したやつみたい!って言ってるのをツイッターで見かけてしまい、え!?怒りみてその感情になるのBL専用ロボットかよ!?と怒怒怒になったので、長々と書きました。いや、最高だったんだけどね、チームゲイも…でも、渡辺謙の涙と広瀬すずの横顔が最の高だったので…

いい映画だった〜